相続対策には、“争続”対策、相続税対策、相続手続対策の三つがあります。
“争続”対策とは、言葉のとおり残された相続人に争いが起こらないようにする対策です。
「うちの子供たちは仲がいいので、揉めることはない。」と親御さんは言いますが、子供たちも独立し、それぞれが、家庭を持つようになると、兄弟といえども経済的に差が出てきます。また、それぞれが配偶者を持つと、本人のみの意向では話が進まなくなります。このような状況では、兄弟が仲がいいことと、相続で揉めないことは別の話になります。自身が築いた財産を、どのような形で次の世代に繋ぐかは、本人が決めるべきことです。本人が、残された人たちへの想いを本人が決めることにより、相続人間の争いをなくすことに繋がります。遺言書を書くことによって、その争いを防ぐことになります。
相続税対策は、本人が築いた財産を適切に次の世代に残す重要なものです。
節税対策は、決して“脱税”ではなく、相続税法に沿った適法の対策で大きな効果が期待できます。生前の贈与も有効な対策です。次世代にどのように財産を残すかという理想形をまず考え、その中で節税対策を検討していきます。相続税の節税のみを目的とする相続税対策は、決して残された相続人を幸せにするとは限りません。相続税対策は、手段であり、目的ではないことを原則に対策することが肝要です。
相続手続対策は、相続人が行う複雑な相続の手続きの負担をできるだけ軽減させることになります。
相続財産の整理を生前に行うことは、相続人に対する思いやりであり、本人が築いた財産を次世代が更に発展させるための準備となります。相続手続をいかにスムーズに行うかを検討することも、大切な相続対策のひとつと考えます。