従業員の確保のためだけでなく、従業員の生活のためにも賃金アップを図りたい。 でも、「会社もそんなに余裕あるわけじゃないんだよなぁ」 って悩んでおられませんか?
そんな経営者の皆さんを助けてくれるのが、所得拡大促進税制です。
本記事では経営を助ける所得拡大促進税制について詳しくお伝えします。
賃上げを節税と成長に変える!所得拡大促進税制を経営の起死回生につなげる全手法
優秀な人材の確保や従業員のエンゲージメント向上に向けて、賃上げを検討する企業が増えています。しかし、「人件費の増加が資金繰りを圧迫するのではないか」と躊躇してしまう経営者も少なくありません。
そんな経営者の強力な追い風となるのが「所得拡大促進税制」です。単なる節税措置として捉えるのではなく、組織の成長戦略として活用することで、経営者と従業員の双方にメリットをもたらす体制を構築できます。
給与総額1.5%アップで税額控除!制度の基本構造
所得拡大促進税制は、青色申告を提出している事業者が従業員への給与支給額を前年度より一定以上増加させた際、その増加額の一部を法人税や所得税から控除できる制度です。
具体的には、給与支給総額を前年度比で1.5%以上増加させた場合、支給増加額の15%を税額控除できます。
たとえば前年度5,000万円から5,100万円へ増加(増率2%)させた場合、増額分である100万円の15%にあたる15万円が税金から引かれる仕組みです。
人件費の負担増を税制面から直接カバーできるため、手元資金に限りがある中小企業にとって非常に心強い制度と言えます。
教育訓練費10%増で控除率25%へ上乗せ!人材投資を加速させる攻めの節税
本制度の真価は、要件を追加でクリアすることで受けられる「上乗せ控除」にあります。給料を上げるだけでなく、社員の教育やスキルアップに投資することで、節税効果を大幅に高めることが可能です。
給与支給額を2.5%以上増加させ、さらに教育訓練費を前年度比10%以上増加させた場合、控除率は25%まで跳ね上がります。
例えば給与総額を5,000万円から5,200万円(4%増)にし、教育訓練費を250万円から300万円(20%増)に引き上げた場合、増加額200万円の25%にあたる50万円の税額控除が適用されます。
単なる「賃上げ」で終わらせず、研修や教育機会の拡充をセットで行うことで、従業員のスキル向上と生産性アップ、そして最大の節税メリットを同時に獲得できます。
雇用安定助成金との調整に注意!現場が直面する計算の落とし穴
一方で、実務上の運用においては注意すべきハードルも存在します。特に見落としがちなのが、雇用調整助成金などの支給を受けている場合の「給与支給額の計算」です。
支給された助成金額は給料の支給額から差し引いて計算する必要があるため、帳簿上の給与が増えていても税制上の要件を満たさなくなるケースがあります。また、役員やその親族に対する給与は対象外となるため、集計の段階で厳格な区分けが求められます。
制度の適用条件を勘違いしたまま期末を迎えると、意図した税額控除が受けられず、資金計画が狂ってしまうリスクがあります。
制度活用を機に強い組織へ!専門家とともに進める体制整備
所得拡大促進税制は、単に「税金を安くするテクニック」ではありません。経営者が従業員の生活や将来に投資し、それに応えて従業員が成果を出すという健全なサイクルを生み出すきっかけとなります。
助成金との兼ね合いや自社に合った上乗せ要件の判定など、実務的な判断には専門的な知識が不可欠です。事前のシミュレーションや要件確認を怠らずに行うことが成功のカギとなります。
自社が制度の対象になるかどうかの確認や、最大の控除額を引き出すための賃上げ計画については、ぜひ税理士や社労士などの専門家へ相談し、攻めの経営基盤を作り上げていきましょう。

